もし入浴拒否をされたら

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更新日:2023/11/01

入浴拒否の原因や対処法

高齢者の入浴に関するトラブルで多いのは入浴拒否です。原因を知り、適切に対処しましょう。

入浴拒否の原因や対処法

入浴拒否の原因

元々入浴が好きだった人でも入浴拒否をすることがあります。認知症による記憶障害が原因で入浴を必要だと思わず、拒否するケースも少なくありません。前回いつ入浴したのかを覚えておらず、必要ないと考えてしまいます。認知症でなくても、加齢による思考力や判断力の低下が原因で体臭や身体の汚れに気づかず、入浴拒否につながることもあります。また、入浴自体を面倒に感じているかもしれません。脱衣所への移動や衣類の着脱、洗身などの作業が面倒になり、入浴拒否につながります。
入浴は非常にプライベートな作業です。他人に身体を見られることが恥ずかしくて入浴をしたくないと思う高齢者も多いようです。人間には当然ながら羞恥心があるので、それが入浴拒否の大きな原因になります。また、認知症による妄想によって「入浴中に貴重品を盗まれるかもしれない」などと思い込んでいるケースもあります。
下着を脱いだ際に汚れがあり、それを見られた経験が入浴拒否につながることもあるようです。入浴中の声がけに対して「子どもじゃないのだから」と怒りや羞恥心を感じる高齢者もいます。このように、入浴拒否はあらゆる身体的・精神的な理由で起こります。

どのように対処すべきか

強引に浴室に連れて行ったり、無理やり服を脱がせたりすることは絶対に止めてください。入浴拒否をされても、相手の気持ちに寄り添う姿勢を忘れてはいけません。認知症による記憶障害が原因なら、一連の手順をまとめて伝えるのではなく、その都度何をするのかを丁寧に伝えましょう。「脱衣所に行く」「服を脱ぐ」「浴室に入る」「身体を洗う」などの手順を細かく伝えることで、パニックにならずに入浴できます。無理に入浴をすすめると、より強い拒絶反応が生じる恐れがあります。そのため、服を着た状態で湯船を見せたり、触らせたりすることで、入浴は気持ちいいものだと思い出してもらいましょう。
入浴が面倒だと感じている高齢者に対しては、温かいタオルで顔や手を優しく拭くところから始めてみましょう。身体を拭くことに慣れたら、次は足浴をしてもらうなど、焦らず段階を踏みながら入浴に移行してもらいます。
高齢者にとって入浴は必須の作業です。しかし、それを拒否するケースも少なくありません。だからといって、入浴をしないままでは様々なリスクが生じます。無理強いはせずに、相手に寄り添いながら丁寧に対応することで、入浴に対する拒否感は徐々に薄れていきます。介護士として質の高いケアを提供するためにも、相手の心情を汲み取る姿勢を常に持って接しましょう。

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